FITマーケットの可能性 [コラムvol.202]

2013.11.25

観光政策研究部 塩谷英生
研究員コラム

 当財団に『観光文化』という名の機関誌があります。これは季刊誌で、昨年から毎四半期に研究員が主体となって特集を組んでいます。この秋、10月号は私が担当でした。
 そのテーマをどうするかについて、年明けくらいからあれこれと検討して、結局「FIT(= Foreign Independent Tour)で行こう」ということになりました。
 私は2010年度から観光庁の「訪日外国人消費動向調査」に携わらせてもらっていますが、その調査からも、アジアの主要市場でリピーターが増加し、団体旅行からFITへの転換が進んでいることがわかります。ところが、FITの行き先の多くは東京などの大都市圏に留まっている段階にあります。
 そもそも地方へのFITニーズはあるのか、あるとすれば市場の拡大に向けて何が課題になるのかを調査によって明らかにし、その結果を中心に特集を構成することに決めました。
 調査対象は台湾にしましたが、それには幾つか理由があります。
 先ず1つは台湾の市場の大きさです。訪日外国人数は韓国が最大というのは多くの方がご存知と思いますが、実は観光庁の「宿泊旅行統計」の延べ泊数でみると、最大の市場は台湾です。これは、観光地の方々の実感とも近いようです。
 二つ目は地方航空路線が発達し、行き先が地方に分散しやすいことです。今は団体観光が中心ですが、FITに転換すればFITに適した地方にとって大きなマーケットとなる可能性があります。
 最後に若年層を中心にFITへの志向が高まっていることがあります。特に東日本大震災後に、周遊観光旅行商品の流通が一時ストップし、同時に航空券やホテルの価格が大幅に下がったことで、若年層を中心に旅行商品の受け皿としてのFITが伸びました。このトライアルによって窮屈な団体観光に比べたFITの良さが認識され、最早後戻りできないという層が増えているようです。
 この調査はインターネットにより実施しました。台湾人モニターから、FITでの訪日旅行希望者をスクリーニング調査で抽出して、本調査に回答してもらう二段階の調査構成となっています。
 簡単に結論を申しますと、地方へのFITでの訪問希望についっての設問では、ほとんどの人が肯定的な意見を持っていました。また、実現への課題として、交通機関の問題を挙げる向きが圧倒的に多いということが改めて分かりました。
 『観光文化』の特集は、下記リンクから読むこともできますので、ご興味のある方はどうぞお立ち寄りください。発地だけでなく、着地側の視点からも整理を試みていて、外部の方々からの執筆も頂いております。
  【LINK: http://www.jtb.or.jp/publication-symposium/tourism-culture-219inbound

 

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