MICEマーケットにチャレンジ・・・北海道釧路市の場合 [コラムvol.57]

2008.11.14

研究調査部 朝倉はるみ
研究員コラム

 MICE(マイス)、あまり一般的ではない言葉ですが、Meeting, Incentive/Inspection,Congress/Convention, Event/Exhibition/Expositionの頭文字をつなげた造語で、会議、研修、報奨、招待、視察、大会、学会、イベント、展示会等、「何らかの目的を持った人々の集まり」のことを言います。

■なぜMICEなのか? 観光客との違いは?

 2007年1月に施行された観光立国推進基本法に基づき、政府は、観光立国の実現に関するマスタープランとして同年6月に観光立国推進基本計画を策定しました。この計画の基本的な5つの目標の1つに「我が国における国際会議の開催件数を平成23年までに5割以上増やすことを目標とし、アジアにおける最大の開催国を目指す」が設定されています。
 国際会議を含め、MICEには交流を通じた活性化の機会の提供、都市・地域名など知名度の向上、人的ネットワークの獲得、大きな経済効果の創出といった効果が見込まれます。また、MICEは観光旅行に比べビジネスが関係することが多いので、平日や観光のオフシーズンに実施される可能性もあり、都市や観光地にとっては旅行需要の平準化というメリットもあります。

■MICEに対する国等の支援

 MICEを誘致するには、会議施設、展示場、スポーツ施設等、ハードの受け入れ施設が必要となりますので、観光地の中でも都市が積極的に誘致に取り組んでいます。
 国際会議振興のため、国際会議場施設、宿泊施設などのハード面やコンベンション・ビューローなどのソフト面での体制が整備され、コンベンションの振興に適すると認められる市町村を、市町村からの申請に基づき、国土交通大臣が国際会議観光都市として認定する制度があります。認定された都市は「国際会議観光都市」と呼ばれ、2008年11月現在51都市あります。認定都市に対しては、独立行政法人国際観光振興機構が国際会議の誘致及び開催支援を実施しています。
 北海道では3都市-札幌市、旭川市、釧路市が認定されていますが、ここでは釧路市の取り組みを紹介します。

■釧路市の取り組み

 ひがし北海道の拠点都市である釧路市は、1994年10月に「国際会議観光都市」に認定されました。その前年1993年に、同市で「ラムサール条約第5回締約国会議」が開催されたことがきっかけでしょう。
 その後、2005年10月に阿寒町、音別町と合併したことから、釧路市では2006年度に「釧路市観光振興ビジョン」を策定し、観光を地域のリーディング産業として位置づける観光産業育成分野の3つの戦略の1つとして「MICE産業育成戦略」が提案されました。MICEにより、一時的とはいえ地域への来訪者の大幅増加に期待できるとともに、MICE開催によって様々な関連産業に大きな波及効果が生まれます。さらに、国際MICEによって釧路市の名前が日本国内だけでなく世界に発信され、知名度向上という利点もあります。ビジョンで提案された施策の中から、市内のMICE開催実績の把握やMICE関連業産業界・合併地域を含めたMICEに関する勉強会・シンポジウムの開催、MICE及びアフターMICEのセールスツール(パンフレット)の作成、MICE参加者への情報提供(施設割引クーポンや観光パンフレットの配布等)、MICE参加者アンケートによる経済効果の把握、アフターMICE企画協力等が、2007~2008年度にかけて実施されています。

■MICEへの期待

 MICE誘致に都市や観光地が積極的な理由に、地域への経済効果の高さがあります。MICEのための滞在による消費はもとより、MICE前後に周辺を視察や観光するという「アフターMICE」による周辺地域への経済効果にも期待できます。MICE自体の開催は難しい観光地でも、周辺都市と連携し、MICEは都市で、アフターMICEは温泉地で、といった役割分担ができれば、観光地のタイプにかかわらずMICEによる様々なメリットを享受することができるのではないでしょうか?

■一般観光客とMICE参加者の平均消費額の差(鳥取県)

 日帰り、宿泊とも、MICE参加者は一般観光客の約2倍の消費

一般観光客とMICE参加者の平均消費額の差(鳥取県)

■釧路市のMICE施設

 観光国際交流センター:大規模な大会や展示会用施設

釧路市のMICE施設

■アフターMICEの例

 釧路市中心部でのMICE(大会)の後、視察研修で阿寒湖温泉を訪れ、地元住民のガイド(写真左)で湖畔遊歩道を散策

アフターMICEの例

 

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