地域のお宝(地域資源)を探す方法 [コラムvol.187]

2013.03.05

観光調査部   高橋葉子
研究員コラム

 地域活性化をお手伝いしていると、「自分たちの地域の価値を上げたい」という地元の熱い期待を背中に感じます。しかし、自分が長年住んでいる地域について新たな価値を見出すことは簡単なことではありません。地域の価値は、地域の人が一番理解していないもの。そんな「もどかしさ」について書きたいと思います。

■地域のお宝はどこにあるのか?

 観光のコンサルタントという仕事柄、地方の農山漁村地域の活性化のお手伝いをする機会があります。日本各地には、その土地ならではの伝統行事や昔ながらの食文化など、地域独自のお宝(地域資源)に出会うことができます。外から訪れた我々にとってみれば、新鮮で興味深いものばかりですが、地元の人に話を聞くと「いやいや、昔はどこの家でも作っていて、珍しいものじゃないのよ。」といった反応がほとんど。これは謙遜もあるけれど、本当に「日常のつまならいもの」と思っているのです。しかし、つまらないに日常の中にこそ、地域のお宝がたくさん隠れています。私が最初にぶつかるのは、「どうしたら、その価値を相手に理解してもらえるか?」という問題です。

■地域のお宝を“見える化”する

 地元の人に、地域ならではの魅力(価値)に気付いてもらうには、どうすれば良いでしょうか?心がけていることが3つあります。

(地元の人の話を聞く)
 地域に入ると、まずは地元の人の話をじっくり聞きます。仕事なので時間的な制約がありますが、できるだけ話を聞くのが一番の近道。遠回りのようですが、様々な年齢、職業の方のお話を聞いてストックしておくことが、後で力になります。


山間部だけで食べられている食材
  なにげない地元野菜の漬物にも
  ストーリーがあります。

(地域の自然や歴史など背景を丁寧にひもとく)
 地域はどこも同じではありません。たとえ同じ市内でも川向こうでは、全く知られていない習慣であったり、山間部だけで食べられている食材だったり。小さな違いを掘り下げていくと、それらは地形や気候の違いなど、地域特有の自然や歴史的背景に裏付けられたストーリーがあります。そこをひもとくことで、どこに価値があるのかを突き詰めます。

(価値を地域の人たちと共有する)

共有(シェア)
 地元の人たちと一緒に地域を再発見
 するイベントで、その価値を共有。

 地元の人たちと一緒にフィールドワークをしたり、まち歩きのイベントをしたりして、その価値を共有(シェア)します。地元の人たちの“見る目”が磨かれてゆけば、地域を「再発見」することが楽しくなってきます。これを繰り返すことで、発見された価値はブラッシュアップされ、幾つかは、地域を代表するスター選手として、地域のイメージをけん引するコンテンツになるかもしれません。

■もっとも価値を評価してくれる人に発信する


山の方だけで食べられている食材
 棚田で採れた米と麹を使って甘酒づく
 り体験。棚田を見ながらの試飲はここ
 でしか味わえない特別な体験。

 地元の人たちがいったん「宝探しのコツ」を習得すると、あれもこれも、みんな価値があるように思えてきます。しかし「なんでもある」というアピールは「なにもない」のと同じ。コンテンツを絞り込んでその価値をもっとも評価してくれる人に、「ここでしか味わえない、特別な体験」としてアピールしなければなりません。ここからはお宝探しの次のステップ。「(うちの村には)こんなに良いものがあるのに、なぜ売れないのか?」を考える段階に入ります。誰に何を売るのか、戦略的に展開していく必要があります。

 

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