外国人の訪日旅行頻度はどのくらい? [コラムvol.334]

2017.02.06

観光経済研究部 主任研究員 川口 明子

訪日外客数はなぜ急増した?訪日旅行頻度に着目

 2014年以降の訪日外客数の伸びは目を見張るものがあります。人口規模が圧倒的に多く、かつ海外旅行市場の成長期にあった中国の伸びはまだ理解できます。しかし、韓国や台湾、香港といった、訪日リピーター比率が高く既に成熟期を迎えていた国・地域からの訪日外客数がさらにこれほど伸びるとは、少なくとも10年前には思いもよりませんでした。

図表1 主な国籍・地域別にみる訪日外客数の推移
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データ出所:JNTO「訪日外客数」

図表2 主な国籍・地域別にみるリピーター比率の推移
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データ出所:観光庁「訪日外国人消費動向調査」

 こうした動きを目の当たりにして、一つ知りたいことが出てきました。それは「訪日旅行頻度」です。なぜならば、韓国や台湾、香港といった成熟市場の訪日外客数がさらに拡大したのは、リピーターの訪日頻度が増えたからではないか、と考えたからです。リピーター比率が高止まりしていても、彼らの訪日旅行頻度が増えれば訪日外客数は増加します。

香港では、海外旅行経験者の2割超が毎年1回以上日本を訪れる

 では、外国人の訪日旅行頻度はどのくらいなのでしょうか。私の知る限りでは、この類の公表データは存在しません。そこで、「DBJ・JTBFアジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(平成28年版)」の中で新たに質問を設定しました。なお、この調査は海外旅行経験者が対象であり、また中国に関しては北京・上海のみを対象としている点に注意が必要です。

 訪日旅行(ビジネス目的のみを除く)の頻度を尋ねた結果、「毎年、年2回以上日本に行っている」人の割合が香港で6%と最も高く、これに「毎年、年1回は日本に行っている」人も加えると、毎年定期的に日本を訪れる習慣のある人が海外旅行経験者の2割超も存在することがわかりました。リピーター比率が80%を越える香港市場では、彼らが近年の訪日外客数の伸びに寄与しているものと考えられます。なお、台湾でも「毎年、年2回以上日本に行っている」人の割合が4%と高い結果となりました。

図表3 主な国籍・地域別にみる訪日旅行頻度(調査対象者は海外旅行経験者)
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データ出所:DBJ・JTBF「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(平成28年版)」

成熟市場では毎年の定期的な訪日を促進すべき

 2016年の訪日外客数は前年比22%増のおよそ2,400万人(推計値)となりました。政府が策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」では、これを2020年に4,000万人、2030年には6,000万人にするという意欲的な目標が示されています。では、訪日旅行頻度の観点から見て、今後訪日外客数を増やしていくためにはどのような方針を取るべきなのでしょうか。

 訪日頻度の高い人が多い香港や台湾においても、現段階では「毎年ではないが、2013年以降に1回以上日本に行った」人が最大のボリュームゾーン。したがって、毎年1回以上の定期的な訪日を促進することが優先課題といえるでしょう。一方、米国では未だ「訪日経験なし」が大半を占めており、まずは日本に来たことのない人の訪日を促すことが先決です。

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