コロナ禍における旅行市場の変化 [コラムvol.438]

2021.02.01

観光地域研究部 市場調査室長/主任研究員 五木田玲子

旅行市場の二極化

 コロナ禍において、旅行者数は大きく減少しました。観光庁「観光・消費動向調査」によると、7~9月の国内宿泊観光・レクリエーションにおける延べ旅行者数は2,837万人で、前年同期比47.3%減となりました。さらに詳しくみると、旅行経験率は28.2%から14.9%となり、この期間中に旅行に行った人、言い換えると旅行人口は前年同期と比べてほぼ半減しています。一方、旅行を実施した人の旅行平均回数は1.52回と前年同期(1.51回)から微増しています。つまり、旅行に行く人はより行く、行かない人は行かない、と二極化が進んでいます。

図1 2020年7-9月 国内宿泊観光・レクリエーションの概況
(出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」をもとに筆者作成)

10代および高齢層の旅行人口が大幅に減少

 では、どの旅行人口が減少したのでしょうか。性別の国内宿泊観光・レクリエーション旅行経験率をみると、もともと女性のほうが経験率が高いものの、今期においては男性のほうが経験率が高くなっており、女性の減少幅が目立ちます。さらに年代も加えてみると、すべての属性において旅行経験率は減少しています。そのなかでも特に、10代、男性70代以上、女性50代以上の減少幅が大きいことから、これらの属性での旅行控えが顕著だったと言えます。一方、減少幅がもっとも小さいのは男性20代であり、次いで男性30代でした。なお、もっとも旅行経験率が高いのは20代女性であり、約1/4がこの期間中に旅行を実施しました。

図2 2020年7-9月 国内宿泊観光・レクリエーション 旅行経験率
(出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」をもとに筆者作成)

夫婦旅行の増加、一人旅の減少

 旅行人口の減少率が大きい70代の旅行は、どのように変わったのでしょうか。ここでは、同行者に着目してみることにします。用いたデータは、(公財)日本交通公社「JTBF旅行実態調査2020」です。コロナ禍においては、住居を共にする夫婦や家族との旅行にシフトする傾向があると言われていますが、70代の旅行においても、男女ともに夫婦旅行が大幅に増加しました。その一方で、男性の一人旅、女性の友人旅行は大幅に減少しています。一人旅の減少は他年代でも共通に確認されました。コロナ禍のなかでは日常的に孤独を感じやすいことが、旅行時の一人旅減少に繋がっているのかもしれません。

図3 2020年7-9月 国内宿泊観光・レクリエーションにおける同行者(70代)
(出典:(公財)日本交通公社「JTBF旅行実態調査2020 」より筆者作成)

おわりに

 公益財団法人日本交通公社では、新型コロナウイルス感染症の流行が旅行市場におよぼした影響把握を目的に、定期的に実施している「JTBF旅行実態調査」「JTBF旅行意識調査」の調査内容を拡充し、分析を進めるとともに、結果の公表を行っています。ご興味のある方は、ぜひ、ご活用ください。

参考

公益財団法人日本交通公社「新型コロナウイルス感染症流行下の日本人旅行者の動向」(https://www.jtb.or.jp/research/theme/statistics/statistics-tourist/

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