スキー・スノーボードライト層がスキー場に求めるもの-マウンテンリゾート研究会 アンケート調査結果より- [コラムvol.469]

当財団では、2019年度よりスキーリゾート研究会(現・マウンテンリゾート研究会)を設立し、主にスキー場事業者やスキー場が立地する自治体等を会員とし、セミナーの開催や市場調査等の研究会活動を行っています。
2021年度は、スキー/スノーボードライト層の需要喚起を目的としたモニター調査を実施しました。本コラムでは、調査結果の一部をご紹介します。

日本のスキー市場の現状

日本のスキー人口は、1998年の1,800万人をピークに減少を続けています。近年では記録的な雪不足やコロナ禍の影響もあり、2020年には430万人にまで減少しています(図1)。

図1 日本のスキー人口の推移
出典:レジャー白書(公益財団法人日本生産性本部)

このように縮小する国内市場の一方で、比較的好調だったのがインバウンド客です。コロナ禍前までは、Japowとも称される日本のパウダースノーを求めて、中国、台湾、香港、豪州などからインバウンド客は増加傾向にありました。また、2022年に開催された北京五輪の影響から、中国国内のスキー人口が1億人を超えるとも言われており、日本の上質な雪を求めた中国人観光客がさらに増加することが期待されていました。本研究会でも、2019年の設立当初は、これらの需要を捉え、国際的な競争力を有したスキーリゾートの実践に向けた研究活動を行っていくことを目的としていました。

しかしながら、コロナ禍で状況は一変し、インバウンド市場が急回復することは期待できなくなりました。そこで、2020年度以降は、コロナ禍からの復活を研究会のテーマとして活動しています。今年度は、コロナ禍の今だからこそ、中長期的に縮小を続けている国内市場を見直す機会であると考え、国内市場の裾野を立ち上げるための取り組みの一環として、スキー/スノーボードライト層の意識を明らかにすることを目的としたアンケート調査を実施しました。

調査の概要

一般に、スキー場での消費行動や消費者の意識を知ろうとする場合、スキー場へ来訪した人を対象にアンケート調査を行う場合が多いと考えられます。しかし、来場者を対象としたアンケートでは、スキー場へ多く通っている上級者を捕捉しやすく、たまにしか行かない初心者を捕捉しにくいという問題が生じます。そこで本調査では、初心者や中級者も補足できるよう、SNSの広告機能を使い、首都圏や関西圏在住者を対象に、発地側に募集をかけモニターの抽出を行いました。

以下では、複数回実施したアンケート調査のうち、スキー場へ行きたくなる動機について聞いた結果をご紹介します。

調査の結果

「あなたがスキー場へ行きたくなるポイントは何ですか?」という質問に対し、当てはまるものについて複数回答を求めました。また、スキーレベルについて初心者と中級者に分け、各項目の選択率の違いを比較してみました(図2)。

図2 スキー場に行きたくなるポイント 初心者と中級者の比較
出典:アンケート調査結果より筆者作成

その結果、「レストランのメニュー」「宿泊施設の併設」「レンタル用品の綺麗さ」等については、初心者が比較的重視しているポイントであることがわかります。

一方で、「最新のリフトやゴンドラの導入」「温浴施設の併設」「ICゲートの導入」等については、中級者により重視されています。これらの項目については、短期的にはスキー初心者を惹きつける(=スキー人口の裾野を広げる)というよりは、中級者以上を誘客するポイントとなりそうです。

また、アクセスの手段について、初心者は「鉄道・バスでのアクセス」、中級者は「自家用車でのアクセス」を重視していることがわかります。このような回答傾向の違いが出たのは、スキー場へ来訪する人のうち、初心者ほど年齢が若いため自家用車を持っておらず、中級上級者になるにつれ年齢も上がり、自家用車を所有する割合が高まることが原因であると予想されます。初心者をターゲットとするスキー場では、自家用車を持っていない人を想定した対応(新幹線の駅からスキー場までのシャトルバス運行、地元の公共交通機関との連携等)が求められます。

まとめ

スキー人口の減少や、消費者の嗜好が多様化していく中、多くのスキー場は、「ゲレンデでスキーを滑る」以外の様々な楽しみ方を提案しています。今回の調査結果から、レストランメニューの工夫やレンタル用品の充実という点は、事業者側としては基本的な部分であり、比較的取り組みやすい施策でありながら、スキー場での経験が少ない初心者にとってもわかりやすい誘客ポイントとなりそうです。一方で、中級者から支持を得ているゴンドラやリフトといった索道施設のリニューアルや、温浴施設の併設等は、ハードへの投資が必要であり、ハードルが高い施策となります。しかしながら、国内スキー人口を定着させることやインバウンド客の回復を見据えると、中長期的には対応が必須となる取り組みであると考えられます。

おわりに

本コラムでは、2021年度に実施した調査結果の一部をご紹介しました。マウンテンリゾート研究会では、2022年度も引き続き、ライト層の立ち上げ等をテーマに市場調査等の研究会活動を続けて参ります。

ご興味のある方は、研究会のページ(https://japow.info/member/)をご参照ください。