旅行は行き先ありき? [コラムvol.357]

 みなさんは旅行に行くと決めた時点で、行き先は決まっていますか?「○○に行きたいから旅行に出掛けよう!」と、旅行に行くことを決断すると同時に行き先が決まる方もいるでしょう。はたまた、「家族旅行に行こう!では、行き先はどこにしようか。」と、旅行に行くことをまず先に決めて、その後で行き先を悩む方もいるでしょう。今回の旅行は最初から行き先が決まっていたけれど前回は後で行き先を決めた、というように、旅行毎で異なる場合もあるでしょう。では、日本人の国内宿泊観光旅行では、どちらのタイプが多いのでしょうか。

他にも検討した旅行先はある?

 そこで、(公財)日本交通公社「JTBF旅行実態調査2016」を用いて分析を行ってみました。本調査は、2016年に国内宿泊観光旅行を実施した人を対象としたインターネットによる調査です(標本数:6,363人、トリップ数:9,823件。)
他に検討した旅行先候補があった人を“行き先迷い派”、他の旅行先候補がなかった人を“行き先ありき派”と捉えると、行き先迷い派が2割弱、行き先ありき派が約8割と、行き先ありき派が圧倒的に多くなりました。

図1 今回の旅行を決める際、他にも検討した旅行先があったか否か
zu1-gokita357

資料:(公財)日本交通公社「JTBF旅行実態調査2016」より筆者作成

性年代別にみると?

 この結果を性別にみると、女性のほうが“行き先ありき派”が多く、旅行を決める時点で行き先がより明確になっています。女性が「どこか旅行に行きたい」と言い出したときは、想定している行き先がほぼある、と考えたほうがよさそうです。

 さらに、年代別にみると、“旅行先迷い派”は20代で最も多く、年を重ねるにつれ“行き先ありき派”が増加する傾向がみられました。友人旅行が多い20代では、「友達と一緒に楽しみたい」「思い出をつくりたい」という目的を実現するための手段として旅行を捉えているため、他の年代に比べて旅行先迷い派が多くなっているのではないでしょうか。

図2 今回の旅行を決める際、他にも検討した旅行先があったか否か(男性)
zu2-gokita357

資料:(公財)日本交通公社「JTBF旅行実態調査2016」より筆者作成

図3 今回の旅行を決める際、他にも検討した旅行先があったか否か(女性)
zu3-357gokita

資料:(公財)日本交通公社「JTBF旅行実態調査2016」より筆者作成

旅行年報2017のご紹介

 今回の分析に用いた調査データ「JTBF旅行実態調査2016」は、先月発行した「旅行年報2017」で、着地(都道府県)別、マーケットセグメント(同行者×ライフステージ)別の旅行動向や、海外旅行の動向について紹介しています。(第Ⅰ編 日本人の旅行市場)。本書は、日本人や外国人の旅行市場や観光産業、観光地、観光政策などについて、各種統計資料や、当財団が実施した独自の調査結果をもとに、一年の動向を解説しています。

 本ホームページでPDF版を公開していますので、ご興味のある方は、ぜひ、ご活用ください。

参考

公益財団法人日本交通公社「旅行年報」