観光地・リゾートにおける「時間」周知の必要性 [コラムvol.148]

2011.08.26

旅の図書館 朝倉はるみ
研究員コラム

 私の勤務する「旅の図書館」では、7~8月の2ヶ月間、「今年の夏は避暑地でロングバケーション」という特別展示を行いました。この夏は、節電手法の一つとして涼しいところへ旅行に行くことが提唱されたことから、軽井沢や日光、東北各地等のガイドブック等をまとめて書架に配架し、多くの方にご利用いただきました。

 私自身も、7月に知人と、あるリゾートへ行ってきました。首都圏から近く別荘も多いことから、毎年夏には涼しさを求め多くの観光客でにぎわうところです。その中の商店街には飲食店、特産品店等、多様な店が並んでおり、ウィンドウ・ショッピングだけでも楽しい時間を過ごせるとても素敵なところです。

 夕方、その商店街を散策していると、音楽が流れてきました。1軒のお店からではなく、商店街全体に流れているようで、時計を見ると丁度5時。この商店街は、観光客やお店の方に『もう5時ですよ』と知らせるために音楽を流していたのだと思います。実際、5時を過ぎると観光客も少なくなり、店じまいを始めるお店もありました。しかし、その音楽を聞いた時、私は子どもの頃に学校で聞いた「下校の音楽」を思い出しました。私の通っていた小学校・中学校では、毎日4時になると少し悲しげな「下校の音楽(小学校は『家路』、中学校ではレッド・ツェッペリンの『天国への階段』)」が校舎や校庭に流れ、「下校時間になったので、家に帰りましょう」というアナウンスが聞こえてきたのです。つまり、リゾートにある商店街で聞こえてきた5時の音楽は、私に「もう商店街から帰らなければいけないのかな?」と思わせ、わくわくするはずのリゾートにいながらも、ちょっとさみしく感じたのです。

 「日常生活からの解放」も旅行の動機の1つです。私自身、目覚まし時計で起きる、お化粧をする、片道1時間以上通勤電車に乗る、パソコンに向かう、といった日常生活の「ルーティーン」から離れるために旅行をするといっても過言ではありません。また、日常生活は「時間」に拘束されることでもあり、旅行中は「時間」からも解放されることで、より一層「非日常」を楽しむことができると思います。

 観光地やリゾートで観光客に快適に過ごしてもらうためには、時間を周知することも必要です。その方法としては、前述したような「音楽」によるものや、アナウンス、時計を設置する等、いろいろあります。宿の中でも、例えば大浴場の湯船から見えるところや脱衣所に時計があれば、食事の時間に遅れることはなくなります。一方、観光地やリゾートで観光客を「日常生活の『時間』から解放する」ことも、観光客が快適に過ごすためには必要です。観光地として、どのように時間を「周知する」か、あるいは「周知しない」かは、その快適性の1つの指標になるのではないでしょうか?

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