男性的なイメージのレジャーと女性的なイメージのレジャー [コラムvol.309]

2016.07.19

観光経済研究部 主任研究員 柿島あかね

 最近、生まれて初めて競馬に行く機会がありました。実際に競馬場を訪れてみると、有名店のスイーツが並ぶおしゃれなカフェでは女性グループやカップルがくつろぎながら次のレースの相談をしていたり、パドック周辺ではこれからレースに出る馬を見るために親子連れでにぎわっていたりと、それまで抱いていた競馬のイメージと随分異なる印象を受けました。

ゴルフといえば中年男性?編物・織物・手芸といえば中年女性?

 私がそれまで抱いていた競馬のイメージと異なる印象を受けた理由の一つに競馬は男性が主に楽しむレジャーであるというイメージが強かったからではないかと思います。しかし、実際に競馬場に行ってみると、レースの勝ち負けだけを楽しむ空間ではなく、競馬や馬に関する基礎知識を学ぶツアープログラムや、小さい子供を遊ばせることができる遊具広場等、さまざまな楽しみ方が存在していて、幅広い客層が楽しむことができる空間となっていました。

 そんなことを経験した競馬からの帰り道、ふと、参加者の多くが男性で占められる「男性的なイメージのレジャー」と、参加者の多くが女性で占められる「女性的なイメージのレジャー」が存在しているような気がしてきました。そこで、「2015レジャー白書」(公益財団法人日本生産性本部)で取り上げられている各余暇活動の参加人口の性別構成比から、男女どちらかの性別の構成比が70%以上になる余暇活動を抽出してみたところ表1の通りとなりました。

 例えば、男性の構成比が79.9%となった「ゴルフ」。ゴルフといえば接待というイメージや、それと関連して、主な参加者は中高年男性というイメージが強く、実際にこのイメージを裏付けるかのようにゴルフは40代~70代の男性が全体の66.8%を占めています。一方で「編物、織物、手芸」は女性が97.5%ととても高く、中でも40代~70代の女性が全体の76.6%を占めており、中高年女性が中心となっている余暇活動のようです。ちなみに、私が参加した中央競馬もやはり男性が8割程度を占めており、思わず納得してしまいました。

 表1:余暇活動別の参加人口の性別構成比

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男性的なイメージのレジャーと女性的なイメージのレジャーのボーダレス化

 こうして見てみると、男性的なイメージのレジャーと女性的なイメージのレジャーについてデータと印象に大きな違和感はありません。しかし、その一方で、友人の話やメディア等の情報から、男性的なイメージのレジャーと女性的なイメージのレジャーのボーダレス化が進んでいるのではないかと思いました。私の友人(女性)は旅行先を選ぶ際にカジノの有無を必ず確認する程、自他ともに認めるスロット好きです。この話を友人にすると「女性なのにスロット?」と驚かれるようです。また別の友人(男性)は料理好きですが、こちらも「男性なのに料理?」と驚かれるようです。

 最近ではこうした男性(または女性)「なのに」○○を好む男子(または女子)のことを「○○男子(女子)」と表現することも多くなってきているように感じます。例えば、競馬を楽しむ「馬女」、釣りを楽しむ「釣りガール」、ゴルフを楽しむ「ゴル女」、料理を楽しむ「料理男子」、手芸を楽しむ「手芸男子」等がそれに該当します。また、遊興施設等では新たな顧客を獲得するためにさまざまな取り組みが行われています。私が訪れた中央競馬では、JRA(日本中央競馬会)が若い女性により身近なレジャーとして楽しんでもらうための取り組みとして「UMAJO」(※1)プロジェクトを実施しています。この他にボートレース(競艇)でも、女性ブロガーにボートレースを体験してもらい、レポートを掲載してもらう等、女性を対象としたボートレースの楽しみ方を発信しています(※2)。先述のゴルフも、データからは中高年男性のスポーツに分類されますが、近年では若い女性向けのファッション雑誌でゴルフ特集が組まれることもあるようです(※3)。一方で、男性向けの料理番組(※4)の放映や男性のみのクラスを持つ料理教室(※5)、男性向け編物教室等も開催されています。こうした環境の変化もあり、以前よりも「男性(女性)だけど○○してみたい…」という人のニーズは満たされやすい環境になりつつあるのではないかと思います。

おわりに

 余暇活動には男性的なイメージや女性的なイメージというものがなんとなく存在しており、それが特定のレジャーから足を遠のかせていることもあるかもしれません。しかし、近年では、興味ある活動であれば世間一般のイメージとは関係なく楽しもうとする人が増えてきています。そしてそれを各自がSNSで発信し、さらにメディアが取り上げる機会も増えてきています。また、受け入れ側となる施設もこうした新たな需要を取り込むため、従来とは異なったイメージの構築や、違った側面の楽しみ方を分かりやすく伝えるためのプロモーション活動を積極的に行っています。

 こうした取組によって男性的なイメージのレジャーと女性的なイメージのレジャーのボーダレス化が進み、今以上に個々人が好きなものを好きなように楽しめる環境となることに期待したいと思います。

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※1 「UMAJO」(http://umajo.jra.jp/)
※2 「女子も思いっきり楽しめる!イマドキのボートレースあれこれレポート」
   (http://www.boatrace.jp/enjoy/blogger/pc/)
※3 20代後半から30代の女性を対象とした月間女性ファッション雑誌「Ane Can」では年2回別冊付録として「Ane Can GOLF」を発行している。
※4 「男子ごはん」(http://www.tv-tokyo.co.jp/danshigohan/)等
※5 「ベターホームのお料理教室 男性クラスのご案内」
   (http://www.betterhome.jp/school/course/dansei/about.html)

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