我が国スキー場の再生に外国人を活用できるか [コラムvol.55]

2008.10.31

研究調査部 山田雄一
研究員コラム

◆スキーやボードは国際的に拡大が期待される市場

スキーやボードは国際的に拡大が期待される市場 すでに、我が国の観光地にとって「外国人観光客」の存在は、必要不可欠とはなっているが、90年代半ば以降、低迷が続いている我が国スキー場であっても同様である。スキーやスノーボードは、もともと、欧米諸国によって開発され普及してきたアウトドア活動であり、国際的な素養が高い活動である。さらに、近年の国際情勢に目を転ずれば、中国を中心としたBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に加え、VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)やMEDUSA(マレーシア、エジプト、ドバイ、サウジ)など様々な新興国が勃興してきている。スキーやスノーボードの参加意向は、所得水準との相関が高いことが経験的に指摘できることを考えれば、今後、スキーを求める「外国人」はさらに増加していく事が予想される。

◆大きなアドバンテージを有した我が国のスキー場

これは、我が国のスキー場にとって、非常に大きなチャンスである。なぜなら、国際的に見てスキー場の適地というのは限定されており、さらに、その中で、我が国のスキー場はとても多くのアドバンテージを有しているからである。
例えば、「寒すぎない」というのは、我が国スキー場の大きなアドバンテージである。海外のスキー場に行かれた方はご存じと思うが、その多くは森林限界を超えた標高(≒高山帯)に立地していることに気づかれていることだろう。このように、スキー場といえば「寒くて」「乾燥している」のが国際的には当たり前、常識なのである。
こうした国際的な常識に反して、我が国のスキー場は、さほど「寒すぎない」のに「雪の量は多い」のである。これは、とてもユニークな存在である。
さらに、「大都市から日帰りで行けるスキー場が数多く存在すること」や「温泉や食事など、国際的に見て強力な魅力が集積していること」「安全・安心の水準が高いこと」も大きなアドバンテージである。端的に言えば、身近な存在でありながら、魅力は詰まっているというのが我が国のスキー場なのである。その証左として、近年、我が国のスキー場には、(必ずしも外国人対応していなくても)多くの外国人が来訪するようになっている。

◆外国人の活力をスキー場再生へ

スキー場経営者の方々や、スキー場を擁する地域の人々には、まずは、こうしたアドバンテージを認識し、自らのスキー場が国際的に見て貴重な物なのだという誇りをもって頂きたい。そして、低迷する国内市場に変わる新規市場(フロンティア)として、外国人スキーヤー、ボーダーの獲得を目指したい。
さらに、ニセコ地域の変容に見られるように、外国人スキーヤー・ボーダーは、地域での滞在スタイルをも革新するポテンシャルをも有している。それは、外国人スキーヤー・ボーダーが、以前、まちづくりの成功要因としてよく指摘された3つの要素「よそ者、若者、バカ者」を備えた存在であるからだ。観光地の国際化を進展させたり、滞在型リゾートに転換したり、外国人スキーヤー・ボーダーに期待できる部分は数多い。
そのためには、「外国人」を施設や地域がお客様としてだけでなく、仲間として気持ちよく迎え入れることが出来るかどうかが重要となろう。
外国人観光客という黒船が起こしたパラダイム変化を、どのように考え、対応していくのか。スキー場や周辺地域は大きな決断が求められる状況となっているのではないだろうか?

 

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