道の駅の新たな集客モデル
近年、道の駅のあり方が変化している。かつては「情報発信拠点+地元生産者・事業者による直売所・飲食店」という構成が一般的であったが、最近では目玉となる集客施設を戦略的に配置し、施設全体の集客力と地域への経済効果を最大化するモデルが増えている。ただし、配置される集客施設のタイプは一様ではない。今回、群馬県前橋市の「道の駅まえばし赤城」を訪れたので、その事例をもとに集客施設のタイプを比較することで、新たなモデルの利点について考察する。
資本と地域性からみた、道の駅の3つの集客モデル
道の駅における集客施設のタイプとしては、運営主体・事業者の地域性と資本規模から大きく3つのタイプに整理することができる。
- ①地元の事業者による直営
1つ目は地元資本の事業者が、魅力的な商業・飲食施設を自ら運営するタイプである。全国規模のランキングで常に上位に位置する「道の駅 川場田園プラザ」(群馬県川場村)がその代表である。集客の目玉であるベーカリーやビール工房は、道の駅の指定管理者である地元企業が運営している。地域への経済効果は最も大きいが、こうした施設開発や運営が可能な、高度な企画・経営能力を持つ人材・企業が地域にいる場合にのみ成立するモデルである。 - ②メガチェーンの誘致
2つ目は、全国的な知名度やブランド力を有するメガチェーンを誘致するタイプである。栃木県下野市の「道の駅しもつけ」に入居するスターバックスや、全国各地で増加しているモンベルの併設店舗などが挙げられる。チェーン店単体による地域への直接的な経済効果は限定的だが、その圧倒的な集客力を、産直施設や地元テナントへと波及させて、施設全体の売上を底上げする。 - ③地域外の中小事業者を誘致
そして3つ目が、1つ目と2つ目の中間タイプである。地域外で独自性を持つ中小事業者やローカルチェーンを誘致する。今回訪問した「道の駅 まえばし赤城」がこれに該当する。単体ではメガチェーンほどの集客力はないが、施設コンセプトに合致している事業者を誘致しているため、施設全体としての集客力が高まり、経済効果を最大化させている。
「道の駅 まえばし赤城」の戦略
「道の駅 まえばし赤城」では、芝生広場に面した一角にベーカリーを配置している。運営するのは地元企業ではなく埼玉を中心に展開するローカルチェーンであるが、常時100種類以上のパンを安定・効率的に供給するノウハウを持ち、目玉施設として大量の来店客をスムーズに受けとめている。加えて、巨大な遊具施設や温浴施設などで集客することで、産直施設や地元生産者のよるマルシェ、地元飲食店によるフードコートの売上につなげており、地域への経済効果を最大化させている。
この中間モデルの利点は3つある。一つ目は①との比較で、再現可能性が高い点である。①のように地元人材や企業に高度な施設開発や運営能力が無い地域でも採用できる可能性がある。二つ目は、施設コンセプトに合わせて柔軟な対応が可能な点である。前述のベーカリーでは群馬の地元食材を使った限定メニューを用意している。②のメガチェーンと比べるとこうした対応へのハードルは低い。そして3つ目が施設の世界観を維持できる点である。②のメガチェーンでは来訪者にとってのローカルな特別感を壊しかねないリスクがあるが、施設のコンセプトに合った事業者を誘致できれば、地元企業ではなくても、むしろ魅力的な世界観の空間に仕立てることができる。
全国の道の駅全体で見ればこうした中間モデルはまだ少数派だが、確かな成果を上げるモデルとして増えつつある。地域資本の限界とメガチェーン依存という課題を同時に解決する手立てとして、今後は標準的な選択肢へと広がっていく可能性がある。


